柘榴/思いは光となって受け継がれる

柘榴 アクリル 134×174mm


ー柘榴と「今」ー
柘榴を描いた。
若い実、熟した実、弾けた実。
ひとつの枝に並ぶその姿は、
命の移ろいを静かに語る。


熟した実が、やがて弾け、
次の世代へと種を渡す。
その繰り返しのなかに、
私たちは「今」を生きている。
与えられた「今」は、
先祖から受け継いだ
奇跡のような恵み。

ーお盆に思うことー
お盆、そして終戦記念日。
昨夜は考えていた。
「今を生きる」とは何か。


感謝が足りない。
私は恵まれすぎている。
この瞬間を本気で
「有難い」と思うこと。


それこそが
「今を生きる」ことだ。

ー両親の記憶ー
終戦記念日になると、
両親との会話を思い出す。
小学三年の夏休み。
宿題で両親に戦争体験を尋ねた。
「何があったの?」
その問いに、両親は目を合わせず、
黙った。
暗い影のような沈黙。
私はそれ以上、言葉を続けられなかった。


あれから幾十年。
三年前、父は語った。
「燃える我が家を、
祖母の隣でただ立ち尽くして見ていた」
そして先月。
父と母、ふたりから並んで聞いた戦争の記憶。

ー小学生だったふたりー
昭和七年生まれ。
同級生だった父と母。
六年生のころ。
父は先頭、母は最後尾に立ち、
五十人の小学生を引率して歩いた。


ある日、米軍の飛行機が降りてきた。
母のすぐそばに弾が落ちた。
「バババババ」
その音を、ふたりは今も再現する。

「機銃掃射、あれは子供を驚かすために落とした。
あれでは死なない。」
「それより怖かったのは不発弾。
戦争が終わってからも、
友達が三人亡くなった。」
七十年を越えてもなお、
父の声には怒りを込めた強さがあり、
母は深く頷いていた。


「あれが日常だったんだよ。
怖いというより、
大人も子供も興奮のなかにいた。」

「ウクライナの子供たちも
同じなのだろうか。」
父の声が心に残る。

ー祈りー
戦争を生き抜いた、
両親の記憶を受け継いで
私は祈る。
世界中が平和でありますように。

思いは光となって受け継がれる。

私は絵を描き続ける。
ひとつひとつの絵に、
願いを込めながら。

ー作品説明ー

「柘榴」

* 画材:アクリル絵の具
* 素材:キャンバス
* 原画サイズ:227×158×3mm
* 額縁サイズ:290×381×27.5㎜
* 制作年:2011年

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2025-08-17 | Posted in blogNo Comments » 

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